リング状電子が半径r(ボーア半径)の円周上を回転するときの速度(rω=vの接線速度)は、約2188km/s(ボーア速度小数点以下四捨五入)である。ならばそこで、円環状拡張場が半径rの円周上を回転するときの速度はといえば、これは第15章で述べたように、円環状拡張場円周上の任意な一点におけるポイントbが円運動するときの速度は、いかなる場合も一定不変の光速度Cなのである。
すると、リング状電子と円環状拡張場それぞれが回転するときの速度比は2188:300000=1:137となり、たとえばリング状電子が一回転する間に円環状拡張場は137回転することになる。
この場合に、円環状拡張場の円周上におけるポイントbが137回転したとき、ポイントbは、任意に決められたその起点となる一回目の回転を始めたもとの位置に戻ることになる。そして円環状拡張場の表面に、137個連なった半径52,9pmの螺旋軌道を描いたことになり、円環状拡張場そのものはその回転数(ω㊧/2π)に比例するエネルギー(ℏω㊧γ)※を持った、定常な波動状態になっているものと考えることができる。
ちなみに、n=2におけるリング状電子が回転するときの速度は、ド・ブロイ波長λ=h/mvの式から約1094km/sと算出され、円環状拡張場のCなる回転速度との比は1094:300000≒1: 274
であるから、リング状電が一回転する間に円環状拡張場は274回転することになり、ポイントbが描いた螺旋の数も137×2の274個ということになる。同様にn=3の場合は、回転速度の比が1: 411で、円環状拡張場の回転数は411回、ポイントbが描いた螺旋の数も137×3の411個となる。
そうするとこの場合の137なる数値は、円環状拡張場がCなる速度で回転したときの回転回数に等しく、この137なる数値そのものを一つの単位として、これがその系の中に幾つあるのかによって、その数に等しい主量子数n※が決定されるといえる。
※{たとえば、137=α-1とすると137×2=2α-1であるから、この場合はn=2となる。}
そして、ポイントbが137×n回転でもとに戻るということは、137という素数としてのその数値そのものが、割ることのできない基本単位として円環状拡張場の中に隠然として存在し、いわば数理的に機能しているということができる。
ところで、前18章でも触れたコンプトン波長λcとは、その粒子の質量mを長さに換算したときの物理量として、プランク定数hと光速度Cを用いてλc=h/mCと表される。
この場合に、電子のコンプトン波長λeは、上式により約2,426pmと導出されるのであるが、これにα-1の137を乗ずる(又はα=0,007297で割る)と、前章で述べた基底状態のド・ブロイ波長λ(=h/mev)の332,5pmが得られ、これを2πで除したものがボーア半径52,9pmとなる。
2,426pm(λe)×137(α-1)=332,5pm(λ)
332,5pm(λ)÷6,283(2π)≒52,9pm(ボーア半径)
すると、電子のコンプトン波長λeは
332,5pm(λ)÷137(α-1)≒2,4263pm(λe)
と表すことができ、これは同時に〔h/meC〕なるコンプトン波長(λc)に等しいのであるから、
2,426pm(λe)≒332,5pm(λ)÷137(α-1)
=h/meC
が成り立つことになる。
そこで、これらを本論におけるリング状電子と円環状拡張場の具体的描像に置き換えると、まず電子のコンプトン波長(λe)であるが、これは前章で述べたように『静止している電子の半径がrɤ
の0,386159pmに他ならず、これに2πを乗じた円周の長さが、そのコンプトン波長2,42630pmに等しい・・・』のであるから、その値は一個の電子を構成する複数光子が円運動したときの円周の長さを表すものに他ならないといえる。
すなわち、電子のコンプトン波長2,4263pmが、具体的にいかなるものであるのかといえば、これは再度換言して述べると『複数光子が円軌道を周回したときの円周の長さ(2πrɤ)に等しく、ひいては、静止している電子の大きさを表わしたものである。』ということができる。
またさらに、コンプトン波長λe(2,4263pm)と微細構造定数αの逆数(137)の積(332,5pm)であるが、この値は、基底状態の水素原子におけるリング状電子(ℓ)と円環状拡張場(Ⓛ)※それぞれの円周の長さに等しく、 ※{厳密には円環状に展開する回転拡張場の円周Ⓛ(2πr)}
ℓ=2,4263pm(λe)×137(α-1)≒332,5pm
Ⓛ=52,9pm(r)×6,283(2π)≒332,5pm
∴ ℓ=Ⓛ と表すことができる。
一方、これらの具体的描像とは異なるボーアの水素原子模型によるならば、この332,5pmなる値は、基底状態におけるド・ブロイ波長(λ)(=h/mev)に等しく、その一周332,5pmの円軌道を一個の粒状電子が周回するとき、それがどこに存在するのかは確率的にしか表現することができず、これはド・ブロイ波(物質波)によるところの円形定常波をなしているものと説明される。
しかし本論においては、第15章で述べたように「電子の波動性とは、粒子としての電子そのものが持つのではなく、あくまでも電子本体の周囲に展開する回転拡張場が持つ・・・」のであるから、この場合に、進行しない円形の波が振幅運動することで表現されるド・ブロイ波の円形定常波に関しては、確かに有用ではあるものの、実際の物理現象としてはあり得ない机上の論理であるといわねばならない。
したがって、実際の水素原子により近い描像を持つであろう図としては、前章の⦅ド・ブロイ波及び新たな水素原子模型図⦆における図3が該当するものと考えられ、図1におけるド・ブロイ波長については、図2・図3のリング状電子とはなんらの関わりを持つものではないといえる。
🔷スピン軌道相互作用
《1/137という値は、電磁相互作用の強さを表すときの単位のない無次元量の値として、微細構造定数αと表記され、あるいはまた、これがスピン軌道相互作用によるエネルギー準位の差を規定するときの定数でもあるとされる。
ところがここで、スピン角運動量とは、もともとは粒子としての電子が自転するときの、その回転の勢いを表わすものであって、いずれにしてもボーア半径というより大きな範囲に展開されるリング状の電子が、そのような局所的な物理量を持ちうるはずがなく、本論においては、そもそもスピン軌道相互作用という物理現象そのものがあり得ないということになる。
たとえば、陽子からみた電子が右回りに円運動するという場合に、相対的には電子からみた陽子は逆に左回りに円運動してみえるはず・・・ということから、この場合の円運動する陽子は、電子の位置する場所に〔I(電流)/2r〕なるの強さの磁場Hを生成するものと考えられている。
しかし本論においては、リング状に展開している電子からみた陽子は、あくまでもその中心において静止しているものでなくてはならず、これがはたしてどのようにして磁場Hを生み出しうるものであるのか、あらゆる意味においてありえるはずがないものと言わねばならない。
ならばそこで、この場合のスピン軌道相互作用に代わりうる何らかの別の相互作用があるとするならば、それはCなる回転速度の円環状拡張場と、ボーア速度で回転するリング状電子の二者による相互作用が考えられ、恐らくは光速度で回転する円環状拡張場のエネルギーが、リング状電子固有のエネルギーに作用して変化せしめ、またそのリング状電子の変化がさらに円環状拡張場の変化を促すといった摂動の連鎖が起きているものと推察される。
いずれにしても、上記のようなより具体的な電子の描像を用いるのであれば、たとえば電子の自己エネルギーといった極めて難解な量子論的問題に関しても、仮想光子などと言う数式上でしか現れない非現実的な概念に頼ることなく、ごく自然なかたちで容易に理解することが可能になるものと考えられるのである。》
本論における水素原子の電子と陽子の間には、何もないただの空間があるわけではなく、そこにはその表面が光速度Cで回転する円環状拡張場が存在する※。この場合に、基底状態のリング状電子と陽子の距離は、円環状拡張場の半径と同一のボーア半径(約52,9pm)であり、その円環状に展開する回転拡張場は、中心に位置する陽子とリング状電子の間に入って、その距離を一定に保つ働きを為しているものと考えられる。※{ラザフォードやボーアの原子模型等で提示される隙間だらけのスカスカな原子像は、本論においてはあり得ない。}
また、直線軌道を運動する電子(第16章内⦅運動する電子の具体的構造⦆を参照)の回転拡張場の半径rは、その速度vに反比例するのであるから、これは直進する電子の速度がより遅いほどより大きく、より速いほどより小さくなる。この場合に、静止状態にある電子の拡張場には、いかなる回転もなければ、その厚さも最低の薄さ(電子の横幅a)になっているはずである。しかし、その広がりの大きさ(半径r)に関しては無限大に広がっていることになる。
そしてこの電子がわずかにでも速度を持つとき、その拡張場は速度vの大きさに準じた角速度で回転を始めることになり、ちなみに速度vがボーア速度の約2188㎞/sに至ったとき、その回転する拡張場の中心から約52,9pm隔たった位置の回転速度が、すなわち光速度Cの値を現すものと考えられる。
そうすると、この直線軌道を運動する電子が、陽子の持つ収縮場の作用によって円軌道運動を行うときの姿が、円環状に展開する回転拡張場をまとったリング状電子に他ならず、この場合に、中心に位置する陽子が持つ収縮場の向心力と、ボーア速度で回転するリング状電子が持つ遠心力とが拮抗するときのその距離がすなわちボーア半径52.9pmであるものと考えられ、その52,9pmの距離を一定に保つ働きをなしているのが、光速度Cなる回転速度を持つ円環状拡張場そのものであるということになる。
そしてさらに、これまで名だたる天才物理学者たちによって語られてきた、深遠で神秘的な様相をもつとされる微細構造定数αが、実はリング状電子と円環状拡張場それぞれの回転速度の比を表わすものであるとするならば、リング状電子対円環状拡張場の1/137なる比そのものが、基底状態における水素原子の定常にして安定した状態を実現するとともに、そこに存在して機能する円環状拡張場の、具体的かつ客観的実在性を保証しているものと考えられるのである。
